旧埴生郡 成田市松崎の祇園
2. 日程と内容
-
(1)日程
-
7月26日が宵宮(ヨミヤ)、27日が本宮(ホンミヤ)。土日にしてほしいという声もあるが、昔からの祭日を変えずに行っているとのことです。
年配者の役員と松和会という若衆連とで役割分担があります。また当地では屋台を「山車」と呼びます。
-
手踊りの練習(令和6年7月10日(水)・17日(水)・24日(水))
- 松和会 青年館で手踊りの練習を行います。令和6年は3日間でした。
準備
- ◎令和6年7月13日(土) 午前
- 【役 員】
境内に御仮屋を組み立てます。神社委員は鳥居や拝殿、神輿に掛けるしめ縄を作ります。
-
注連縄を作る
御仮屋の柱を組み上げる -
◎令和6年7月14日(日)午前
【松和会】 山車のルートを確認し、巡行を妨げる樹木の枝を伐ります。沿道に祭礼の小旗を立てます。
◎令和6年7月20日(土)午前
【役 員】
- ススキを軽トラック一杯分刈り取り、袴部分を取ってきれいに揃え、御仮屋の屋根を葺く。周囲にもススキを立てる。
- スチールパイプでカラオケ大会の舞台を作る。
- 鳥居、拝殿、お仮屋、境内摂社のしめ縄を張り替える。
-
【松和会】
ススキを刈る
屋根を葺くススキを並べる
できあがった御仮屋
- 2本の大幟を鳥居の両脇に立てる。乳(ち)のひとつずつに藁縄を通して柱に縛り、柱の頂には笹(竹枝)を挿す。人力で柱を立て、カンザシと麻縄で支柱に固定する。
- 神輿を洗い、注連縄を巻く。
- 屋台を曳き出して掃除をし、曳綱や畳を天日に干す。
- 各々のお神酒所(休憩所)に表示板を立て、その下に砂を盛り、榊枝を挿す。
-
幟の柱に笹を挿す
乳を縄で結わえる
幟を立てる(境内側)
幟を立てる(道路側)
カンザシと麻縄で支柱に固定する
御神酒所の立て札に盛砂をし榊を立てる
宵宮(令和6年7月26日(金))
-
- 7時に集合。神輿を社殿から御仮屋に移し、稲穂の束を神輿前にぶっ違いに飾る。
- 山車を幕などで飾る。
- 模擬店やカラオケ大会の準備を行う。
- 18時から21時まで、区民の親睦を目的として、境内で模擬店とカラオケ大会が開かれる。社殿前では、交代で松崎太鼓が演奏された。
-
御仮屋に移された神輿
宵宮の境内
本宮(令和6年7月27日(金))
-
- 7時に集合。神輿を境内に出し、担ぎ棒を入れて井桁に組み、その担ぎ棒を晒で丁寧に巻く。
- 山車に飾り提灯を下げ、曳綱をつける。
- 8時から拝殿で三宮埴生神社宮司により祭事が行われる。
- 松和会会長の手によって、神輿に幣束が入れられる(御霊入れ)。
- 先に子ども神輿、次に大人神輿が社殿を3周する。鳥居を出てトラックに載せる。
- 出発はおよそ9時。車載された神輿が先に行き、その後を山車が進む。山車の前に若者頭が立って進行をリードする。坂が多い土地柄で、下り坂は、1本の綱を後ろに回して曳くことでブレーキとし、また上り坂では、上から全力で綱を曳き、後ろからも押し上げて、力を合わせて引き上げる。
- 浅間池では浅間様の鳥居前に神輿を据え、お浜下りの祭典を行う。祭典後、浅間池の水を神輿にかける。まず宮司が少しの水を掛け、その後若衆が神輿の上から、次いで下から盛大に掛ける。台座の下からも盛大に水を掛けるのは、クサビを濡らして緩まないようにするためである。
- 休憩所を「御神酒所」といい、令和6年は8か所用意された。到着すると手踊りを披露し、その後、接待を受ける。それぞれの御神酒所の準備は、担当する班が決まっており班長を中心に準備が行われる。途中、八生公民館の休憩所で神輿を揉んだ。
- 21時頃に宮入となる。境内に入ると神輿を担いで社殿を3周し、地下足袋のまま拝殿に担ぎ入れ、拝殿内で揉んでから、本殿の前に据える。山車の曳き手は手踊りを行ったあと、サンギリの演奏で終了となった。
-
祭典に参列する若衆
渡御開始を待つ神輿
社殿を3周する
鳥居を出る山車
浅間池でのお浜下り神事
神輿に池の水をかける
御神酒所で手踊り披露
坂を引きあげる
八生公民館で神輿を揉む
拝殿に入る神輿
-
(2)組織
-
区長が祭典委員長を務めています。役員は区長1名と班長20名で、御仮屋やカラオケ舞台の設営を担います。加えて神社役員7名で注連縄を作り、また祭事で必要なご神饌、榊枝の用意などを担っています。
祭りの実行部隊を松和会といい神輿や山車の巡行を担っています。松和会が結成される前は青年会が行っていましたが、平成4年(1992)の山車を新造した際に、任意団体として組織されました。若者頭は毎年新しく選ばれ、祭りの実行委員長となります。次の若者頭も祭り前に決められます。
松崎はまとまりが良い集落だといわれます。しかし、こと松和会に関しては、近年の加入率は松崎の青年の約2割にとどまり、またメンバーの4割が地区外からの加入者となっています。
-
(3)神輿・山車・囃子
神輿
-
神輿は白木造りで飾りがなく、テンノウサマといいます。現在の神輿には「大正14年7月吉日」の墨書きがあります。暴れ神輿として担がなくなってからは、鳥居、井垣、蕨手などを釘で打ち付けていますが、以前は、渡御の際には外しました。担ぎ棒を井桁に組んでおり、白木の暴れ神輿としては珍しい形ですが、これは昔からとのことです。ただし担ぎ棒に半幅に切った晒を巻くのは、見栄えと肩の痛み対策で平成4年頃に始まった新しい習慣です。
-
大正14年に製作された神輿
担ぎ棒に晒を巻く 山車
- 平成4年に新造され、その年から巡行が始まりました。松崎の職人が地元の木を伐り、製材し、4トントラックの車体を利用して、大工がその上に材を組み立てて製作しました。自動車整備工場に勤める人がブレーキや方向を変えるハンドルを付けるなど、住民自らの力で作った山車です。
-
山車はトラックの車体を利用して製作した
囃子
-
松崎には子供の頃から個人的に佐原囃子の下座連に入って修行し、篠笛や太鼓の製作まで行える久保木師匠がおり、この方を中心に結成された友笛(ゆうてき)囃子連が山車に乗り、佐原囃子の演奏を受け持っています。また八生小学校で平成20年頃から久保木師匠の指導でお囃子クラブの活動が始まったことも、祭りの盛り上がりに繋がっているそうです。
宮出しではサンギリを演奏し、次に馬鹿囃子に移行すると山車が動き出します。運行中は、ルンバ、トロ、大杉あんば、鬼節、ラッパ節など、早調子物という早いテンポの曲が主に演奏され、特にラッパ節などの歌える曲は、曳き手の気合が入ります。下り道や細い道では、ゆっくりと山車が曳かれるので、演奏する曲も中山、松飾り、剣囃子、吉野など、スローテンポな曲になります。そして、お神酒所では下座のメドレー(あんば、大漁節、松飾り、吉野、大杉あんば、ラッパ節、日光和楽)にあわせて手踊りが披露されます。
ラッパ節一 うちの頭(かしら)はいい男 うちの頭はいい男
なお「松崎太鼓」は、大太鼓と小太鼓各1基で祇園にだけ演奏されるもので、サンギリと馬鹿囃子があります。佐原囃子のサンギリ、馬鹿囃子とは全く異なる曲で、一時途絶えていましたが、これも久保木師匠が採譜を行って復活させ、現在では多くの若者や子供たちが叩けるようになっています。
だけど女にゃもてませぬ それにお金もありません
二 回る時計の針でさえ 一日一度は会うものを
あなたと私はなぜ会えぬ 同じ松崎に住みながら
-
友笛囃子連
松崎太鼓
-
(4)ご神燈
- 沿道にススキで飾ったご神燈を掲げる家がありました。かつては多くの家がそれぞれにご神燈を作って掲げ、ススキで飾っていたとのことです。
-
ご神燈
松崎の祇園 巡行図